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コラム
【第10話】営業マンの進化型
2017.04.20
以前、クライアント先の営業マンと面談をしました。
その営業マンはお客様に様々な提案をしているのですが、
なかなか受注に至らないとのこと。
そこでどういう提案をしているのか聞いてみると、
商品を売るために、商品の良さ、これまでのものとどこが良いのか、
他社とは違う差別化ポイントを強調した提案とか、
お客様に「いかに、自社のサービスがよいか」
・・・要は、「売るための提案」となってしまっている様子。
お客様に商品の良さを訴えるのはいいのですが、
それが目的になってしまうと、お客様からのヒアリングが自分本位になったり、
お客様が抱えている本当の課題に迫る質問をしていなかったりで、
結局、不十分なコミニュケーションに陥っていました。
実は、ただ単に「売りたい」とか、
「商品の良さや差別化ポイント」を伝えたい、という姿勢は、
自社視点に偏った姿勢。
この会社の場合、お客様の要望を解決し、
本来の目的である、「売上」を上げることが
本来提供すべき「価値」のはずです。
これまでより優れた機能も差別化も、
確かに良いものなのかもしれないが、
お客様が買う意思決定していない段階では
そんなものは聞きたいとは思わないでしょう。
例えば自社がリフォーム工事業で、
飲食店のお客様から依頼があった場合、
お客様は店をリニューアルし、
より使い勝手よく、綺麗にしたいのはもちろんだけど、
本当のニーズは「お店の売上を更に上げたい」ことです。
そこで、もしリフォーム工事以前に、
外観の見た目が悪い、
サービスがわかりにくいとか、
店内の配置が悪いなどの
売上アップの為に改善できる点に気づいたのなら、
それを含めた提案にできるかどうかです。
お客様にお金を使わせることを前提で、
ただ単に工事の提案をする営業マンと、
お客様の本当の悩み、
目的に沿う「価値」を盛り込んだ工事の提案をする営業マン。
あなたがお客様なら、どちらを選ぶか?
それが答えだと思います。
営業マンだから、売らねばならない・・・これは当たり前です。
しかし、自分の利益を先にするか後にするかで、
お客様の反応は大きく違ってくるはず。
まずは全力で、相手の利益を考える自分になっているかどうか。
商談をしたけれど「ダメでした、あのお客様に自社の商品はあいません」と、
責任を顧客のせいにする。
・・・このような発言が多いのは、自分本位の営業マンの典型です。
そもそもの、本当の相手の目的や悩みを把握できていただろうか・・・?
または、把握している、と思い込んでいなかったか・・・?
商談時のやり取り、相手の反応、表情や言葉を振り返ることでヒントがあるかもしれません。
しかし、自分自身の能力・・・
例えば、「営業力」の中でも重要な「知る力」(事実を正確に把握する)や「聴く力」(相手の立場や思い、感情を理解しようと、誠心誠意共感して心から聴く)が不十分では、この段階にも至れないのも事実。
・・・実際の商談時の状況はどうなのか?
社長や上司はしっかり部下の話に耳を傾けましょう。
その上で、様々な「壁」を越える方法が推測できるはず。
事実をしっかり把握したうえで、別の切り口の価値を提供できないか。
相手の本当の目的や悩みを解決するには、そのためにこの商品を提案します、などと見方を変えさせる提案は無いか。
前ふりで、どのような事例や、情報提供をしておくとよいか。
提案する商品や、当社の強みの独自性の見せ方・伝え方を変化させてみると・・・?
固定概念で決めずに、人の知恵も借りて、何10回、何100回、何1000回と考える。
・・・この作業に手をぬかないことです。
ジョシュア・レイノルズという作家の言葉
「人は考えるという真の労働から逃れる為なら何でもする」
売れないと嘆く前に、この言葉を自らの戒めとするべきです。
相手は、自分に利益を与えてくれる為に全力で頑張る存在を、
決してむげに扱うことはありません。
むしろ他の競合先とは一線を画した位置に置く。
それが即ち、相手にとっての「パートナー」です。
営業から、パートナーへ。これが営業マンの進化型です。
相手に先に利益を与える。
それでは、自社の売上や利益はなくてもいいのかという声が聞こえてきそうですが、そういう話ではもちろんありません。
企業にとって売り上げは大切ですし、利益なき企業は存続すら不可能です。しかしこれは、企業の目的ではなく、達成すべき目標なのです。
達成すべき目標と、追求すべき目的が同時に存在します。
両方大切にしなければなりませんが、
目的より、目標にウエイトが行くと仕事が「苦しいもの」に変わってしまいます。
目標である数字は会社の最終目的ではありません。
目標の先に有る、目的とは、「何のために」、という事です。
「我々が提供している価値」とは何でしょうか。
・・・営業マンが、進化するためには各自が良く考え、議論し、深めていかなければならないテーマはまさにここなのです。
「そもそも」「何のために」という「本質」を考えるという思考のクセを付けることも、進化する営業マンの条件。今年の自社の営業マン、営業部の進化型を、皆さん、心にイメージしてみてください。
そこから、営業マン自身の在り方そのものや、仕事に対する姿勢・考え方・行動をどう変えていくか、課題もまた見えてくると思います。
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株式会社トゥルーチームコンサルティング
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吉野 創(よしの はじめ)
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