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コラム
【第18話】経営者は社員の本当の目的を知っているか?
2017.12.20
<経営者の思いは届いていない>
人間は、誰しも幸せに生きたいと願うもの。
しかし、その前に、幸せとまでは行かずとも、「より良く」生きたい。すなわち現状の不満をなくしたい。目の前にある、苦しみや恐怖から逃れたい、という思いの方が強いと言われています。
経営者は、遠くにある理想の姿を追い求め、目の前のこういった社員の気持ちに十分に答えられていないケースが多い。
理想を掲げ、崇高な理念を社員に話しても、社員の頭の中が、目の前の現実(生存や安全、損か得か、)に対する判断基準で占められているならば、その思いは伝わらないと思ったほうがいい。
経営者が、経営理念や、「使命や在り方」をいくら説いても、社員の多くは「話はごもっともです」と表面上は賛成しても、心の中では「そんなことより、給与を見直してよ」「人を採用して、慢性化した長時間労働を何とかしてよ」といったことに関心があり、思いはほとんど届いていません。
したがって、行動が変化することもなく、不満ばかりが募っていくという結果になってしまうのです。
- <経営者と社員の関係性はどうか>
問題の本質は、どこにあるのかというと、それは経営者の考え方にあるのです。
社員との関係性をどのように考え、実現してきたか。経営者の多くが、「雇う側と雇われる側」とか、「指示する側と実行する側」、といった対立軸で捉えています。一言で言うとそれは「労使関係」。
確かに、その方が経営しやすく、組織運営も効率化でき生産性も高まることもあったと思います。しかし、多くの企業がこの「労使関係」で行き詰まり様々なトラブルに巻き込まれています。労基トラブル、社員の離反、退職、不祥事は後を絶ちません。
・・・ここに変化を求められていると現場で肌で感じています。
- <「労使関係」から「同志関係」へ>
変化の時代、それを最も敏感に感じることができるのは、現場の第一線で働いている社員です。社員は個々に業務改善のヒントを掴んでいます。
その情報やアイデアをタイムリーに引き出し、彼らが主体者となり、実行できる仕組みや、もし失敗しても「責任は経営側が取る。思い切ってやれ!」という信頼関係に根ざしたサポート体制があれば、現場の業務改善はどんどん進みます。
これが「環境に合わせた変化」であり、「組織の進化」に他なりません。
しかし、このように変化に対応している組織は稀です。
多くは、
「社長や上司に相談すると面倒なことをやらされる・・・」
「意見を言っても、様々な理屈でどうせ変えないし・・・」
「数字だけで評価されるから、波風立てない方が無難・・・」
などといった理由から、実現しないケースが多いのです。
その本質の理由は、社員にも、会社の人間関係は所詮「労使関係」にすぎないという固定概念があるからです。
- <経営者の固定概念を変える>
この見えない固定概念を変える努力を今すぐ始めましょう。まずは、経営者自身の固定概念を変えることから始めます。
社員に接する姿勢を変えること。「同志関係」とは、「志を同じくするもの」の意味です。自分自身の利他心に根ざした目的を言葉にし、社員の目線で話をする。社員にも、志を持つ人は多いです。それに共感できることは経営者の喜びではないでしょうか。
そして、現実的な戦略や将来ビジョンも共有する努力も大切です。会社の将来が、皆のより良い将来につながっているというビジョンや、それに至るプロセスを示すことで、社員の共感も高まり、未来に向けての一体感も徐々に高まってきます。
社員を大切に思う経営者の愛情を、様々な仕組みで表現する努力も重要です。
仕組みを構築または改良し、社員の今、そして未来の生活を守ろうとする経営者を、社員は裏切らないものです。
・・・様々な努力が必要ですが、最も大切なことは、社員の変化を信じることです。経営者が社員に対する姿勢を変えても、社員はすぐに信じてくれないし、すぐには変化しないものです。反発する社員も当然出てきます。
しかし、最も大切なことは、その姿勢を継続することです。
社員の成長を信じ、任せる。
この姿勢を継続することで、社員の主体性は少しづつ芽生え、「同志関係」の基盤ができてくるのです。
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株式会社トゥルーチームコンサルティング
代表取締役/一般社団法人 自走式組織協会
代表理事
吉野 創(よしの はじめ)
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