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コラム
【第58話】リーダーは、指示されることのない存在
2021.04.13
先日のセミナーにご参加いただいた
ある企業役員の方からの相談です。
「ヨシノさん、
うちの会社では予算に基づく業績管理は、
各事業部長に任せているのですが・・・。」
「その事業部では、期首に指示した戦略が事業部内で徹底されず、
予算も未達で・・・。」
「やむなく、私は危機管理のために、
その都度、改善指示をするのですが、
いつも忙しいことを理由に実行水準が低く、
部内の統率も取れていないように見えます。」
「・・・事業部長がもっとリーダーシップを発揮して、戦略を徹底させる良い方法はないでしょうか。」
・・・というお悩みです。
あなたなら、こういうケースでは、
どのような対策を講じますか?
これだけでは、原因が不明確ですから、
・・・事情をもう少し、深く聞いてみると、
実は期首に戦略を作っているのは
実質、その役員本人。
事業部長は、戦略を作るには作るが、
前期と変わらない内容で、表面的。
やむなくその役員は自分で作った戦略を
指示する形となっている、
・・・というのが現実のようでした。
その役員が、
個別の案件や、その攻略法に至るまで、
会議では確認(という名の指示命令)をしている、
というのが実態。
つまり・・・
この役員自身が気づかぬうちに、
自分が戦略実行の主体者となってしまい、
一方で、
この事業部長を「依存型」の人材に育てていたのです。
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リーダーは、依存型では機能しない
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どのような組織やチームでも、
リーダーに対して、
誰かが指示して、行動を決定するということはありえない。
このケースは、組織として、
「リーダーとしての姿勢」を深く考え直す良い機会なのです。
リーダーは、常に自分の頭で考えて、行動を決めるもの。
指示される前に、自分で考え、動き出す
「自発性」が求められる。
その事業部長には、
リーダーとしての姿勢が欠けている。
事業部のメンバーは、おそらく
会議の様子を見る限りそのように見てはいないだろう。
本来は、事業部長がリーダーであれば、
前期の行動を自ら振り返り、
メンバーに自発的に働きかけるもの。
自ら自己開示し、相互に振り返る場を作る。
「なぜ、訪問件数が少ないのか?」
「新規の案件掘り起こしに時間を割かないのか?」
この時、「本音で」振り返る場となっているか。
それは、リーダーの姿勢次第。
本音の議論があって、初めて人は行動を変えていく。
このケースの場合、
この役員も、業績に対する真剣な気持ちがあればこそ、
危機管理のために細かく口出しせざるを得ないのだ。
この問題を解決する手法としては、
まず、この事業部長を「戦略実行の主体者」として
扱うことが先決だ。
例えば、
役員は、会議で細かく指示することを一切やめ、
「事業部長が、自分で内省して、来期の戦略を組直せ。」
「メンバーとミーティングして、行動計画を修正せよ。」
・・・という姿勢を貫く。
そして、
「戦略と実行計画を組み、あなたの事業部の運営方針を教えてくれ。」
「概ね、1週間後に・・・・。」
とだけ指示を出し、
あとは考えさせる。
見守る。
出てきた戦略・運営方針を承認し、
事業部リーダーに実行を一任する。
・・・もちろん、手法は他にも色々あるのだが、
リーダーの姿勢が「誰か(上司など)に依存している」状態では、
部下を動かす影響力を持ち得ない。
・・・この話から、企業役員は
意図せずに「依存型の人材」を育てて
してしまっていたことに気づかれたようだ。
今までやっていたことは、ただの「問題対処」。
どこから着手することが
本質的な「問題解決」になるのか。
今は、その土台作りから始められています。
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株式会社トゥルーチームコンサルティング
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吉野 創(よしの はじめ)
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