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コラム
【第5話】社員にとっての「組織のビジョン」とは 
2016.11.20
もし、経営者である貴方が「組織のビジョンはなんですか?」と問われたら・・・貴方は何と答えますか?
ビジョンがしっかり明確になっていることは素晴らしいことです。しかし、そのビジョンは社員さんと組織の中で本当に「共有」できているでしょうか?今回はお互いのビジョンを良く知ることがその第一歩・・・・というお話です。
さて、ではそもそも「ビジョン」とは?
簡単に言うと「目的地」とか「実現したい状態」ということです。会社でいうと「顧客満足ナンバーワン」「**で地域一番」「**で日本一」「世界進出」などがその一例です。
未来においてどんな状態にする?どんな状態を実現する?
・・・これを表すものが未来の「ビジョン」です。
未来のビジョンと言われても、現状からみると明るく描けないと頭を抱える経営者様もいらっしゃいますが、これは戦略や目標といったものとは異なり、そこに実現根拠は今はなくとも良いのです。
必要な要素はただ一つ。ビジョンの役割は、「夢」を与えるものでなければならない(わくわく、素晴らしい、誇りを感じる)ということ。
一方で、ビジョンとは「将来像と現在とのギャップ」を示すものでもあります。
ビジョンに魅力があり、現在とのギャップが大きいならば、そこに我々(社員皆の)の大きな成長が求められているのだ、というギャップ克服のための成長に組織のベクトルがそろうという価値ある効果を持つのがビジョンです。
ですので、企業経営において、この「ビジョン」の効果を活用しない手はないのです。
自分も社員もワクワクしながら成長に向けてチャレンジし、ビジョン実現の方向に進む途中で、さまざまに必要な要素を会社は取り込み、まさに「ビジョンにふさわしい会社」に変化していくのですね。
さて、では次に考えるべきは、「あなた自身のビジョン」です。
経営者であるあなたのビジョンは何でしょうか。自分自身がオーナーである、ほとんどの中小企業経営者様は、「組織のビジョンが実現する事」と答えられるのではないでしょうか?
例えば・・・「社員皆が、知恵と努力で仕事を進化させ、顧客に最大の貢献をし続けやりがいを感じ、利益を分かち合い、家庭も豊かにできる・・・幸せな社員が、職場の存続に自ら努力をする。次世代の会社組織も心配なく、社員の若手を先輩社員が育成している。」
・・・細部は違えども、こんな状態の実現が多くの経営者様が願っていることではないでしょうか。
しかしながら、
「あなたのビジョン」と組織のビジョンは同じでも、「社員のビジョン」と組織のビジョンはそろっているわけではない、ということが現場でたびたび感じることなのです。
例えば、「社員の幸せ」をビジョンに掲げていても、
社員の皆さんの仕事はハードワークで、残業・休日出勤も放置され、昇給も見込めない、それに経営陣もまったく無頓着・・・だとしたら、
この場合、社長がどんなに未来に向けての夢のあるビジョンを語っても、それは社員の心には届いていません。お互いに、違うビジョンを観ながら同じビジョンを観ているふりをしている組織のベクトルは、本当にはそろいません。
放置したままだと、様々なミスロス・生産性低下の要因となります。
では、何が必要なのか。
会社組織としては、まず、社員のビジョンを実現できるように、確実に仕組みや職場の環境整備をしなければならないのです。
その先に、もう少し先に → → →組織のビジョンがある、という感覚です。
さて、それでは「社員のビジョン」とは何でしょうか?
社員さんは、何を未来に見ているのか?望んでいるのか?を良く聞いてあげましょう。
例えば、それは「豊かな人生を送る事」・・・とイメージしてみると、
その豊かな人生の実現のために必要な要素は?何をもって「豊かさ」と感じているかを知る事です。
「物質的な豊かさ」と「精神的な豊かさ」など、個人の豊かさの定義によって、それは変化していきますが、概ねその会社組織の社風と呼ばれる価値観(仕事観、人生観)の集合体に影響されるのではないかと感じています。
日本一になったり顧客満足ナンバーワンになるのが社員さん自身のビジョンではないのです。
例えば・・・・仕事でやりがいを感じながら自身が成長し、貢献に応じてお給料が年々少しずつでも上昇し、将来この会社で頑張る希望が持てる。共に頑張る仲間と苦楽を共にし、信頼関係が無形の財産になる・・・そのうえでの、「日本一」とか「顧客満足ナンバーワン」とか「社会貢献」とかが実現できればもり上がる、という感覚が近い。
多くの社員さんは、
「この職場で、成長を重ねながら長く働きたい」
「仕事の技術を高めることに情熱を燃やしたい」
「職場の地域での影響力を高めたい」
「上司や部下と信頼にあふれる温かい人間関係を作りたい」
「仕事を一人前にできるように頑張りたい」
「顧客から必要とされる営業として、活躍したい」
といった、ビジョンを持っています。
もちろん全員がそうではないし、社風によってその差はあります。
ということは、
この様な社員さんの成長や取組をサポートできる会社・職場でなければ、
社員さんは、ビジョンの実現は困難と感じそこでの貢献は最低限と「線引き」し、他の場所を探し始めるでしょう。
ここにおいて「組織のビジョンと社員のビジョンが一致している」ということは、「人が育つ環境を創る」ということを実践している、という経営側の責任が伴うということが言えるのですね。
貴方の会社はどんなビジョンを掲げていますか?
それが社員さんのビジョンを取りこむものになっていますか?
最後に、その実現ができる環境を社内に創れていますか?
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株式会社トゥルーチームコンサルティング
代表取締役/一般社団法人 自走式組織協会
代表理事
吉野 創(よしの はじめ)
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