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コラム
ベクトルを揃えていない組織の困った出来事はなぜ起こる?
2016.06.05
問題を解決しようとすると、最終的につきあたるのが、「人の問題」。
いつもここにたどり着きます。
人は、元来合理的には動かない生き物だと痛感します。
そこを理論理屈で合理的に解決しようとするから、さまざまな問題が起きています。
「人は思うように動いてくれない」と多くの社会人は実感していると思います。
その本質的な要因は何でしょうか。それには、改善方法が悪いとか、スキルが低いとかの諸要因を考える前に、「人間の習性」を知る必要があります。
□人間は「自分の思ったとおりにしか動かない」
人間の習性とは、「人は自分の思ったとおりにしか動かない。」という習性です。
その為、相手は自分の思う通りには動かないのは当たり前の事。また、厄介なことに、みんな自分が正しいと思っているのですね。
そのような人間の習性を踏まえ、組織を束ねていくことが、リーダーには役割として求められるのですが、ここにさまざまな落とし穴があります。
□課題を本質的に改善する会議になっていない
以前、ある企業様での部署ミーティング。
現場の社員は、生産性が下がるのは、人が減っているからで、人を増やせば改善すると主張。しかし、それを聞いた上司は、「それが問題の核心ではない。そう結論付ける前に現場で知恵を出せ。知恵と工夫と、パートさん含めた従業員のコミュニケーションの改良で、生産性を改善するべき」という考えを主張。
観点が、完全にすれ違っているのです。「リーダーは、普段部署のメンバーとどんな接し方をしているのだろうか」とふと不安になりました。
このようにすれ違ったままで、日々の業務をやっていて、本当の意味での生産性を確保できるとはとても思えません。
忙しい現場においては、このような考えをすり合わせる時間が確保しづらく、「いいから、いわれたとおりにやれ」と指示してしまうことになりがちです。
するとさらに懸念されるのは、このリーダーの姿勢が、次へ、次へ、と伝播していくこと。すると、現場の社員間、パートさんとの間でのベクトルがそろわず、不満感情を抱えたまま仕事をするのが当たり前の職場が常態化します。社員が不満を抱えて、パートさんに「いいからとにかくやって!」といった姿勢で接すると、パートさんの離職や、勤怠状況の悪化にも響くようになるでしょう。そうすると、ますます生産性は低下する、という結果を招きかねません。
生産性が落ちた事に対する課題を抽出しても、お互いの方向性がずれていてはミーティングの効果は望めません。
□まずは、「心」と「頭」の矛盾を解消しよう
心(思いや感情)と頭(理論理屈)が、お互いに矛盾を抱えていると、本当には行動を変えられないものです。
それを解消する為には、
ミーティングを始める前に、まず相手の「思いや感情」を聴くこと。
ミーティングの中でも、相手がどう受け止めているか「思いや感情」を聴くこと。
「感情的になることは、社会人としては好ましくない」という世間一般的な常識は置いといて、あるときは、本音を出し合い、語りましょう。
「現場ではこういう苦労もあるんだな・・・」
「あいつは、自分の為に言っているのかと思ったが、仲間のことを思いやっての事だったのだな・・・」
「上司はこんな思いでいたのか。そこまで考えていなかったな・・・」
「上司は先のことまで良く考えているな!・・・」
などなど、こんな「心」がお互いに共有できるからこそ、歩み寄れることも多いですよね。
理論理屈では、上司の言うことはほとんど正しいし、組織ではそうすべきだ、と多くの社員さんは頭では分かっているのです。頭では・・・。でも心で納得いっていないのです。
頭と心を近づける。そのような職場での取り組みが不足していると現場で時折感じます。
型にはまった、形式的な会議を何回繰り返しても、お互いの思いや感情を共有できていなければ、チームの方向がそろうことなどありません。
□自分自身の「心」と「頭」が矛盾していないか?
最後に、人間の本質は、相手も自分が思ったとおりにしか動かないのと全く同じ理由で、
自分自身も思ったとおりにしか動かないのですね。
頭では、「こうしなければならない」「こうあるべきだ」と思って発言していても、心で納得していなければ、言動を変えようとは心の底ではしないし、もし「言葉は変わったとしてもそこに心はこもりませんから、相手の心には何も響かない。
中間管理職の立場にある人は、部下と経営者に挟まれて大変な思いをしている、という話を聴きますが、その問題はそもそも自分が自分の心を納得させていないことからくるのです。
リーダーの立場にある人がしっかり振り返るべきは、まずは自分の内面。自分自身の心と頭の矛盾を解消しないと、そこから出る言動は、変わりません。ここを置いてどうにかしようとしても、うまくいきません。
「自分自身が、その方向・目指している姿に納得し、心底燃えているか」ここをはじめに点検する必要があります。
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株式会社トゥルーチームコンサルティング
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吉野 創(よしの はじめ)
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